パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ

 過ごしやすい良い季節に上野の国立西洋美術館へ。100点以上の作品と資料が集うキュビスムの企画展。

 

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 もはや私の中でおなじみになってしまったこの外観。

 

 本展示では一部を除き作品の撮影が許可されたが、個人利用に限るためここに掲載はしない。代わりに購入したポストカードとともに個人的な感想を残す。

 

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ロベール・ドローネー《パリ市》

 まず想像より大きい。画面で見る限りは作品のサイズ感がどうしても分からない。目にした瞬間の圧倒される感覚に、足を運んで作品を見に行く価値があると思う。

 勉強不足でドローネーという画家の存在すら知らなかったし、同時主義という表現方法もこのとき初めて知ったが、この絵は面白い。古典的な題材である三美神と思われる裸婦と、近代を象徴するエッフェル塔が同じ画面に存在する。二項対立を画面に表現しつつもどこか二項の調和を感じさせる。個人的に本企画展で一番学びを得られた一枚。

 

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ル・コルビュジエ静物

 彼は「ピュリスム」を提唱したためこれをキュビスム的な作品とは見做さない解釈が正しいのかもしれないが、印象的なのは作風ではなく彼が選んだモチーフ。

 キャプションによれば、パイプや本、ワインボトル、食器などの日用品、ギターやヴァイオリンなどの楽器に限定される。それらは年月の中で改良され、合理的で機能的な形に洗練された、機能美をまとったオブジェと見なされたそう。無論ワインボトルなどは遥か昔から静物画で描かれたが、彼がそういう理由づけをしてモチーフを選ぶところが、いかにも機能重視の彼らしいというか。彼が設計した美術館の中で彼の哲学に包まれながら、その哲学を絵によって再確認する経験ができた。

 

 キュビスム以前・以後の作品も合わせて展示され、20世紀初頭のたった数年の間にこれほどの芸術運動、美の追求が行われていたのかと思うと、もはや美術史に速度さえ感じられる。

 良い思いをした。やや強引な形で締めくくるが、単調な日常には飽きてしまうから、たまにはどこかに出かけつつ多視点的に日々を見直して、自分の生活も再解釈してみようかと思う。

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